久幸繙文

ATOKで歴史的仮名遣を快適にタイピングするための方法

注意

  • 当記事では、当記事を公開した時点での最新仕様(ATOK2006)での設定方法を解説いたします。
  • そのため、古いATOKではこれらの方法が使へない、或いは設定箇所や語句が違ってゐる場合があります。
  • 当記事は記事の性質上、歴史的仮名遣を用ゐて書いてをりますが、拗音・促音は敢へて小書きしてゐます。

変換アルゴリズムを歴史的仮名遣に準拠させる

方法

  • 言語バー【メニュー】ボタンから【環境設定(プロパティ)】をクリックする
  • 【入力・変換】タブの【基本】の【変換】の項の【表現】の指定を、デフォルトである「一般」から「文語」に変更する
  • 【文語】の「「ゃ」「っ」などを小書きしない」のチェックを入れる

概要

  • 基本的に、歴史的仮名遣をそのまま歴史的仮名遣として変換します。「現代仮名遣→歴史的仮名遣」といふ変換はしてくれません(小書き文字のみ例外
  • 「いふ→言ふ」や「さいはひ→幸ひ」「いくだらう→行くだらう」「すこしづつ→少しづつ」といった活用形などの歴史的仮名遣ひはほぼ完全に踏襲されます。
  • 「やうに→様に」「はう→方」といった一部の字音仮名遣ひにも対応してゐます。あくまでも一部ですので、過度の期待はしない方が無難です。
  • 特に「くわんおん→観音」「やうしき→様式」「はうばう→方々」といった熟語の類は壊滅的です。
  • また、「ぞろひ→揃ひ」のやうに、文脈によって濁音になったりする類の変換も上手くいかない事があります[1]
  • 「いつた→言つた」「さつち→察知」「しやか→釈迦」のやうな変換は出来ず、小書きに関しては現代式を用ゐなければなりません。変換アルゴリズム上の問題なのでせう。「いった→言つた」などの変換になります。
  • ATOKの文語モードでは、校正支援機能が使へない。他のモードなら、「見れる」とすれば「ら抜き表現」と云ふ註釈が出るし、「してる」とすれば「砕けた表現」と云ふ註釈が出る。ATOK 2006ヘルプによれば、文語モードの時は校正支援機能は使へなくなるらしい。

[註.01] 但し辞書の学習によってある程度解決します。

「Wi」「We」とローマ字入力で「ゐ」「ゑ」と認識させる

方法

  • 【メニュー】→【プロパティ(環境設定)】を開く
  • 【キー・ローマ字・色】タブを開き、【ローマ字カスタマイズ】ボタンをクリックする
  • メモ帳でも何でも良いのでとにかく文字が打てて、それがコピー出来るアプリケーションを起動する
  • 「ゐ」「ゑ」を取り敢ず一文字づつコピーする
  • 「Wi」や「We」の項、デフォルトでは「うぃ」「うぇ」になってゐるところを「ゐ」「ゑ」に差し替へる[2]

[註.02] Ctrl+Vで入力する。ここで文字の変換は出来ないので注意。

概要

  • ローマ字入力で「Wi」「We」とタイプすると最初から「ゐ」「ゑ」と認識し、そのまま「井」や「絵」などに変換も出来ます。
  • 例えば用ゐると書きたい時、「MoTiWiRu」とタイプして「もちうぃる」から変換しても、単語の区切り認識などがなかなか上手くいきません。しかし「もちゐる」から変換するとすんなり認識してくれます(同様のことは「植ゑる」などにも言へます)
  • もし「うぃ」「うぇ」と打ちたいときは、「Whe」を「うぇ」に当てる[3] か、IME式なら「UXe」と打つかかで対応してください。外来語を連発しない限りはさほど支障はありません。むしろ用ゐるなどの方が余程良く使ひます。

[註.03] デフォルトではさうなってゐます。

問題なく設定出来たヴァージョン

成功例のご報告をお待ちしてをります。

  • ATOK 2006(久樹)
  • ATOK 2005(久樹)

ATOK14(16だったかも?)以前は、文語変換が出来ないやうです(確認久樹)

久樹 輝幸