公開日:2008-11-12
更新日:2012-12-14
八雲紫の持つスペルカードに、罔両「ストレートとカーブの夢郷」というものがある。
『罔両』とは日影と日向の境界にある薄影
の事をいう。罔とは「獣や罪人などを捕らえる網・法律」「無」「禁止」「盲い」「強いる・偽る」「憂う」といった意味があり。両は物を二つに分けて天秤で量るという源を持ち、「ふたつ」「ふたたび」「通貨や重さなどの単位」といった意味がある。
『ストレートとカーブ』は、見たところ弾幕の性質そのものを表しているように思う。レーザーがストレートで、ぐねぐね曲がるワインダーと大弾がカーブであることは一度体験すれば瞭然であろう。
だが、是非曲直庁などで登場する『是非曲直』[1]といふ語から見れば、(正)直者と曲者のことを表していると言う説も考えられるのではないだろうか。
となると、最後の『夢郷』の解釈によって、このスペカの持つ意味は全く変ったものになりそうだ。夢の郷というのは、単純に「理想郷」という風にも捉えられるし、或いは『華胥の夢』(夢違科学世紀)や『華胥の永眠』(幽々子)の華胥国[2]辺りが関係する可能性もある。
正直者も嘘吐きもいない、或いはそういう概念そのものが存在しない。善悪は薄影のごとく揺らぎたゆたう……。映姫様がみたら発狂しそうだが、そういう状況を表しているのではないだろうか。
一方、下位互換[3]である式輝「四面楚歌チャーミング」はもろに曲者な弾幕なのだが、それだけでは片手落ち。八雲を名乗るとはいえ、藍様もまだまだなのだという事にすれば、両者の弾幕の性質をうまく説明出来ると思う。
ふわりふわりと降りてくる大弾に潰されないためにも、或いは大弾を避けようとしてレーザーに灼かれないためにも、この弾幕に挑む者は善悪をはっきりと選り分ける強い意思が必要なのだ。